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Issue No. 23 (June 12, 2024) 運動の大切さ

hiroizumidc

更新日:2024年9月13日

日本人が長寿であることは世界中で知られていて、私達もアメリカで生活していて出会う人からよく「日本人は健康で長生きなんですよね」ということを言われます。日本人の食事はとても健康的で、肥満や心疾患が少なく、お年寄りもみんな元気、というようなイメージを持っているようです。確かに日本人は数字上は長生きです。しかし、日本ではアメリカよりも多くの農薬や添加物の使用が許されていて、日本人の食事はケミカルまみれであること、たくさんの日本人が鬱や引きこもりなどで心を病んでいること、太っている人が少ない割には糖尿病を患う人が多いこと、癌で亡くなる人が多いこと、そして日本人の平均健康寿命は平均寿命よりも10年ほど短く、介護の問題が年々深刻になっていることなどは、外国ではあまり知られていません。


人間はみんないつかは死ぬので、最終的に誰かのお世話にならなければいけないことは仕方のないことですが、できるだけ長い間自立した生活をしたい、という思いは皆さんあると思います。介護が必要になる理由の一つに、転倒や骨折があります。この問題は、運動を習慣化してある程度の筋肉量を維持することで、リスクをかなり下げることができるものです。大腿骨を骨折して車椅子生活になって初めて運動をスタートするのでも、しないよりは当然良いのですが、予防する方が断然良いことは言うまでもありません。年齢に関わらず、体を鍛えて筋肉をつけておくことは、健康回復/維持/促進のためにとても大切です。筋肉量は、運動能力だけでなく、私達の体の様々な機能に影響を与えています。


まず、筋肉があると代謝が上がって、運動をしていない時でも体がカロリーを多く消費するようになるので、痩せやすくなるだけではなく、血糖値が上がりにくくなり、糖尿病の予防になります。また、筋肉は貯蔵庫のような役割も担っているので、筋肉量が多い人は、多少の肉体的や精神的ストレスがあったとしても、筋肉から栄養素やエネルギーを取り出すことで難なくそのチャレンジを乗り越えることができます。例えば、空腹になるとイライラするのは女性に多いですよね。一般的に女性は男性に比べて筋肉が付きにくいので、空腹時に低血糖になりやすいのです。このように、筋肉は血糖値を安定させてくれます。


筋肉は熱を生むので、筋肉量が増えると体温が少し上がり、それによって免疫力も上がります。免疫細胞は体温が高い方が活発になりますし、病原体も体温が高いと繁殖しにくいのです。また運動は、免疫細胞がたくさん住んでいるリンパの流れを促進し、心臓や呼吸器に負荷をかけて鍛えるので、速やかに病原体や異物の処理ができるようになります。


運動は筋肉だけではなく、骨や椎間板や関節も強くします。これらはタンパク質やカルシウムなどの栄養素が主な原料になっていますが、いくら栄養が完璧でも、負荷をかけること無しには強化されないのです。高齢者に多い骨折に背骨の圧迫骨折がありますが、あれは骨密度が落ちてしまっているから起こることなので、普段から少しずつ負荷をかけて、骨格を強くしておかねばなりません。


運動は、脳の健康とも大きく関係しています。脳は、私達が動いていない時も、眠っている時も、常に忙しく体の部位とコミュニケーションを取っているのですが、運動をする時は更にたくさんの量の情報と刺激が脳に届けられ、そのことが脳を活性化させます。実際、運動が学習能力や記憶力、それから痴呆やアルツハイマーの予防にも貢献することがわかっています。運動は、脳にとっての最高の栄養なのです。


また運動には、ストレス過多である現代人の自律神経のバランスを整えるという効果もあります。体は運動をしている時は、緊張モードである交感神経を優位にして、血液や栄養素が心臓や筋肉に集められ、早く走ったり力を使ったりすることを可能にしますが、運動後は抑制性のGABAという神経伝達物質が分泌されて、交感神経を鎮め、逆にリラックスモードである副交感神経のスイッチがオンになり、免疫機能や消化機能が促進されます。現代を生きる私達は、多くの精神的ストレスを抱え、慢性的に交感神経が優位になっているにもかかわらず、その時に体が戦闘のために整えたエネルギーを使う場がありません。運動は、その行き場を失ったエネルギーを発散させ、体の緊張をほぐしてくれるのです。


その他にも、運動は成長ホルモンの分泌を促して体を若返らせ、睡眠の質を上げ、心の健康に貢献するなど、運動することによる利点は上げ始めたらキリがありません。私達人間の体は、動くことで全てがうまく回るように作られているのです。別に痩せたいわけじゃないから必要ない、とか、痩せているから大丈夫、ではないのです。いきなりフルマラソンを走ることをおススメしているわけでは決してありません。これまで運動を全くしてこなかった人は、まずはウォーキングから始めると良いでしょう。「無理はしない」は基本ですが、だからと言って体にとって全く負担にならない楽なことをやり続けても、筋力は上がりません。平たんな道を歩くことに慣れたら、まずは距離を徐々に伸ばし、次は少しずつスピードを上げてみる、もしくは緩やかな坂があるコースに変えてみる、といった具合に、ゆっくりと強度を上げていくと良いでしょう。


最後に、筋肉をつけ、怪我をせずに運動を続けるためには、当然そのための栄養と、食べ物を消化吸収することができる健康な胃腸が必要です。消化酵素を利用し、良質のタンパク質と脂質をしっかり摂り、たくさんの野菜を食べ、消費カロリーに見合った良質の糖質を摂り、充分な睡眠時間を確保するように努めましょう。体が歪んだままで運動していると、いつかどこかで関節を痛めてしまうので、カイロプラクティックなどで骨格のバランスを整えておくことも大切です。



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