日本はまだまだ毎日暑いようですが、フロリダは気温が少しずつ下がってきて、朝晩はだいぶ過ごしやすくなってきました。涼しくなると同時に(とはいっても日中は30度を超えることが多いのですが)、体調を崩す人も増えてきています。季節の変わり目には、風邪をひいたり、アレルギーや喘息の症状が出たりしがちですし、これから年末が近づくに連れて、パーティーや食事会などで暴飲暴食をする頻度も増えることでしょう。免疫力を高め、この時期を元気に過ごすためには、肝臓を良い状態に保つことが非常に重要なカギとなります。
肝臓の機能が私達の健康に大きく影響を与える背景には、肝臓の役割の多様性があります。肝臓には、体に属さない異物の処理や解毒の他に、血糖値の調整、栄養素の生成や貯蔵、腸壁から吸収された栄養素を体が使えるような形に変換する、胆汁の生成など、実にたくさんの役割があります。なので、肝臓の機能レベルの低下を示唆する症状も様々です。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、機能レベルを症状や血液検査などで把握することが難しいですが、太鼓腹、シミや吹き出物などの肌の問題、PMSなどホルモン分泌と関係する問題、右側の首や肩がこる、痔になりやすい、あぶら物を食べると気分が悪くなったりお腹をこわしたりする、胆石などの問題がある場合は、肝臓に負担がかかっている可能性が大です。
本当の意味で肝臓をいたわるには、生活全体を見直し改善していくことが大切ですが、肝臓機能の向上のために絶対に必要になる栄養素が三つあります。
①ビタミンB群
ビタミンB群は、エネルギーを作る過程でたくさん使われるので、肝臓での代謝機能には絶対に欠かせない栄養素です。血糖値を激しく上下させる甘い物(ハチミツ、メープルシロップなどの自然な甘味料も含む)、糖質中心の食事、アルコール、薬、加工食品の摂取は、ビタミンBを無駄に消費してしまうので、肝臓機能を高めるためには、これらの摂取を控えなければなりません。動物性のタンパク質は、ビタミンB群を特に多く含むので、血糖値をぶらつかせないためにも、毎日の食事でしっかりとタンパク質を摂ることが重要です。
②抗酸化物質
ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール、カロテノイドなどの抗酸化物質は、肝臓での解毒の過程でたくさん消耗されます。なので、解毒を必要とする薬品、化学調味料、防腐剤、農薬などをできるだけ体に入れないように気を配ると同時に、野菜や、果物(主にベリー系)や、少量のナッツ(消化が難しいので摂り過ぎに注意)、オレガノやバジルなどのハーブや、シナモンなどのスパイスなど、抗酸化物質を多く含む食べ物を積極的に摂取するとよいでしょう。ビタミンAとビタミンEは、魚や動物性のあぶらにも含まれます。また、太陽の光の近赤外線にあたることで体の細胞が作るメラトニンも、最強な抗酸化物質として体内で働くことがわかっているので、天気の良い日は外で活動することも大切です。
③アミノ酸
体は全てアミノ酸からできているので、体内の機能の全てはアミノ酸無しには不可能です。解毒の過程でも、毒を運ぶのにも、抗酸化物質を使う時にも、アミノ酸がたくさん必要になります。アミノ酸は動物性のタンパク質や、豆類に多く含まれます。
まとめると、野菜とタンパク質をしっかり摂り、血糖値をぶらつかせる食事をやめ、加工食品やケミカル全般を控えることが、肝臓をサポートし、免疫力を高く保つための条件である、ということになります。肝臓を労わることは、免疫機能だけでなく、健康寿命を延ばすことにも大きく貢献します。食事だけではなく、質の良い睡眠、運動、姿勢(神経の流れ)、心の平安も、肝機能に大きな影響を及ぼします。どうしても生活が乱れることが避けられない場合には、サプリメントで栄養素を補うのも効果的です。ただし、サプリメントは不摂生を帳消しにしてくれるものではなく、あくまでも栄養「補助」であることを覚えておきましょう。
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