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Issue No. 30 (January 15, 2025) ボーンブロス

hiroizumidc

日本でもアメリカでも寒い日が続いていますね。私達の周りでも、風邪、胃腸炎、インフルエンザ、新型コロナ、溶連菌など、ありとあらゆる感染症が流行っています。アメリカには、風邪をひいた時にはチキンスープを飲むという習慣があります。最近はパスタのような麺が入った「チキンヌードルスープ」といわれるものが一般的ですが、麺が入れられるようになったのは近年のことで、元々は骨付きの鶏肉でだしをとったスープに、鶏肉の身の部分、玉ねぎ、セロリ、人参、ハーブなどを入れ、シンプルに塩と胡椒で味を付けたものでした。


アメリカだけでなく、韓国の白濁牛骨スープ(コムタン)、ベトナムのフォー、ウクライナのボルシチ、フランスのポトフ、など、昔から世界各国でスープは様々な原材料から作られ、体調がすぐれない時や疲れている時はもちろん、特に妊娠中や授乳中の女性、乳幼児や成長期の子供に積極的に飲ませるという習慣があります。日本では魚のアラからダシをとってお吸い物を作るという文化がありますし、みそ汁にも煮干だし(いりこだし)が使われたりしますね。これらのスープの共通点は、何らかの骨が使われているスープ(ボーンブロス)がベースになっているという点です。ボーンブロスは、胃腸をいたわり、体を癒し、免疫機能をサポートし、頑丈な体を作ると言われ、アメリカのチキンスープには"Jewish Penicillin"(ユダヤのペニシリン)という別名が付けられているほどです。先月の記事でも骨スープについて少しご紹介しましたが、このボーンブロスの力はどこから来るものなのでしょうか?


スープについて書かれた記事を読むと、スープが体に良いと言われるのは、材料として入っている肉や野菜の効用によるものだと書かれたものが多いですが、スープの癒しパワーの本当の源は、スープのベースである「ボーンブロス」にあります。骨、軟骨、腱、靭帯などの食べられない部分を長時間かけて煮出すと、アミノ酸各種、コラーゲン、ゼラチン、グルコサミン、コンドロイチン、ヒアルロン酸などの成分が溶け出します。それらには、胃腸の粘膜を保護し、消化を促し、腸壁での炎症を抑え、腸内フローラのバランスを整える効果があります。また、これらの成分の多くは骨や関節を作る原材料なので、体の成長や修復をサポートします。サプリメントでグルコサミンやコンドロイチンなどを飲んでいる方も多いと思いますが、自家製ボーンブロスからもそれらの栄養素を摂ることができるのです。ボーンブロスを毎日摂ることで、不安や気分の浮き沈みが解消されるというケースも多々あります。これは、ボーンブロスに含まれるアミノ酸が精神にもたらす影響と、腸内環境が整うことによると考えられています。


ボーンブロスは、普段我々が食べている肉の部分にはあまり入っていない成分やアミノ酸を摂ることを可能にし、栄養の偏りを改善します。野菜の切れ端などを入れて煮込むと、ミネラルもたくさん溶け出すので、更に栄養価を高めることができます。良質の塩でしっかり味付けされたボーンブロスは、私達現代人の疲れた副腎を労わる、いわば真のスーパーフードなのです。


市販の固形ブイヨン、コンソメ、鶏ガラスープなどは、ボーンブロスと同じような味のものを作ることを可能にしますが、化学調味料の力を借りているというだけのことなので、ボーンブロスと同じ栄養素は入っていないばかりか、むしろ健康を損なうものとなっています。人工的に作られたうまみ成分であるグルタミン酸(アミノ酸等、味の素など)は、ボーンブロスに自然に含まれるグルタミン酸とは構造が異なるため、脳細胞や神経細胞にダメージをもたらすことがわかっています。味だけを追求するのではダメなのです。


ボーンブロスの作り方は、調べれば日本語でも英語でもたくさん出てくるので、色々試してみると良いでしょう。ひとつ注意しなくてはならないのは、動物の脂の部分には体に害になる毒素がたくさん溜められていることがあり、骨の骨髄も脂分が多いので、なるべく良質の骨を使わねばならないということです。アメリカにお住いの方は、オーガニックの鶏のドラムスティックや手羽がお値段も手ごろで使いやすいと思います。日本にお住まいの方は、オーガニックの物はなかなか入手できないと思うので、できるだけケミカルや抗生物質やホルモンを使わずに放牧で育った家畜の物を選ぶようにします。ボーンブロスの動物臭さが苦手な方は、野菜やハーブを多めに入れてみてください。


和泉家では、ほぼ常に、コンロの上でボーンブロスが作られているか、もしくはボーンブロスをベースにして大量に作った何かが冷蔵庫に入っています。ストレスが多い生活をしている現代人の多くは、朝コーヒーを飲むことで目を覚まして一日をスタートしていると思いますが、試しにコーヒーの代わりに自家製ボーンブロスを毎朝飲んでみてください。具は無しで塩味だけで飲むのもよし、たくさんの野菜やひき肉などを放り込んで具だくさんのスープを作るもよし、ボーンブロスで野菜を煮てブレンダーにかけてポタージュを作るもよし、ポトフやカレーやシチューを作るもよし。何よりも嬉しいのは、ボーンブロスは単に体に良いというだけでなく、本当に美味しいのです。一度その美味しさを知ったら、続けることが苦になりません。是非、ボーンブロスを生活の一部にしてみてください!



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