Issue No. 32 (March 14, 2025) ポリオワクチン
- hiroizumidc
- 3月14日
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1900年代前半のポリオ感染症の大流行を受けて、世界各地で科学者たちがワクチン開発に取り組みました。アメリカでは、ジョナス・ソーク医師が開発した「ソークワクチン」と呼ばれる不活化ワクチンが、大々的に接種が行われた最初のポリオワクチンです。不活化ワクチンとは、ウイルスを殺して毒性をなくしたものを体に入れることで免疫をつけるワクチンで、ソークワクチンは1954年に治験が行われ、翌年の1955年には認可が下り、摂取が開始されました。
ソークワクチンに含まれていたポリオウイルスは、ホルマリンとメルチオレートという化合物によって不活化されていました。しかし実際には、殺し切れていないウイルスが含まれたワクチンがあり、毎年ポリオ感染症の流行時期前に集団接種が始まると、その直後に一時的に感染者が増える、という現象が見られるようになります。ソークワクチンは複数の会社が開発し認可されましたが、カッターという会社が開発した不活化ワクチンが7万人以上のポリオ感染を起こし、200人以上はその麻痺を一生抱えて生きることになり、10人の死者も出るという事件が起こります。ソークワクチンには、このような安全性の問題があっただけでなく、当初期待されたほどの有効性もありませんでした。たくさんの人がワクチンを打ったにも関わらず、1958年と1959年に大流行が起きたのです。流行が止まらないのは未接種者たちのせいだ、と言われていましたが、1960年に持たれた会議で「ソークワクチンには一般的に信じられているほどの有効性はない」と専門家たちが認めていたことが議事録に残っています。実は1954年から行われた治験で、摂取組と非摂取組とで感染率に差は無かったのですが、その事実は1957年まで公開されませんでした。
その後、ソークワクチンはいったん使われなくなり、アルバート・サビン医師が開発した、弱毒化したウイルスを経口で入れる飲むタイプのワクチンが一般的になります。経口タイプのワクチンは、粘膜での免疫を刺激するため、感染を防ぐ免疫をつけることが可能で(最近のワクチンは、症状の軽減はできても、感染は防げない物が多いのです)、集団免疫を達成するには不活化ワクチンよりも経口ワクチンの方が効果的だと言われますが、今度は便から排泄されるウイルスが強毒化して耐性を作ってしまう危険性を免れることができません。実際にインドで経口ワクチンの集団接種が麻痺患者を多数出し問題になったこともあり(ただしこれはDDTも要因であった可能性もあります)、近年でのポリオ感染のほとんどはワクチン株が原因になっているため、2000年頃から経口ワクチンを廃止する国が増え、現在アメリカと日本を含む多くの先進国では不活化ワクチンのみが使用されています。
不活化ワクチンは、繰り返し摂取することでポリオウイルスに対する抗体が増えることが治験で確認されているので、「有効である」とされています。しかし、通常ポリオウイルスが侵入してくる際に通る粘膜での免疫は、不活化ワクチンではつきません。なので、感染を防ぐには不十分で、効果があるのは症状の軽減に対してのみになります。2012年以降に生まれた子供は、スケジュール通りにワクチンを打っていたとしても、ポリオに感染しないほどの免疫は誰も持っていません。恐らく麻痺は防げるけれど、感染はしうるので、集団免疫には貢献しない、というわけです。「抗体ができる」=「効果がある」=「感染しない」、では決してないのです。
ポリオワクチンにはかつて汚染の問題もありました。ポリオワクチンは、不活化タイプも、経口タイプも、両方とも猿の腎臓の細胞を使い培養されたウイルスを使って製造されていましたが、その細胞がSV40というウイルスに感染していたことがわかったのです。SV40は、癌や腎不全との関係性が疑われているウイルスで、アメリカでは1961年に製造されたものが最後と言われています。しかし、日本ではそれが1980年代まで使われていた可能性もある上、汚染されたワクチンを直接打っていなくても、打った親から受け継ぐことができるという説もあり、過去の問題である、と片づけられる問題ではなさそうです。
このように、パーフェクトなポリオワクチンは、過去にも今もありません。不活化ワクチンは感染を防げないし、生ワクチンはワクチン株による感染や麻痺を引き起こす可能性があります。動物の細胞を使うので、汚染の可能性もあります(技術が進歩して以前よりは可能性は低いと思いますが、ゼロではありません)。そういった問題とは全く別の副作用もあります。今回の記事でも、前回の記事でも、麻痺以外の副作用に関しては触れていませんが、ポリオワクチンも、実は天然痘ワクチンも、摂取後に問題が出たり死亡したケースも実はたくさんあるのです。それだけ犠牲を払ったとしても、それはウイルスを根絶させてたくさんの命を救うためには仕方のない犠牲だ、という見方もあるでしょう。しかし、もし仮にワクチンでウイルスが一度「根絶」となったらなったで、今度は誰も免疫を持っていないという状況になるので、何かのはずみで新たな株が自然発生してしまった場合に、免疫機能では全く対応できず多数の死者を出す可能性もあります。人間の力で自然界を上手くコントロールするということは、非常に難しいのです。
ポリオワクチン開発、認可、宣伝の流れを見ると、注目すべき新型コロナウイルスワクチンとの共通点がたくさんあります。まず、メディアの報道により、世の中のポリオに対する恐怖感がとても大きかったということ。当時の人々を脅かしていた病気はポリオだけではなく、梅毒、結核、癌なども死者をたくさん出していたのですが、「ポリオ」の麻痺で苦しむ子供達の様子はメディアの映像を通して散々繰り返し伝えられ、March of Dimesという一般市民から寄付を促す大規模な資金調達活動をしていたこともあって、多くの人がポリオ感染症のことを認識しており、恐れ、ワクチンの開発を待ち望んでいました。そんな中での治験は、世界中からの期待と大きなプレッシャーも下で行われ、急いで決断を下さねばならず、有効性と安全性をしっかりと確認する余裕もないまま、過去最短のスピードでワクチンは認可され、ワクチンへの信憑性を下げるような情報は一般市民からは隠蔽されました。新型コロナワクチンの「ワープスピード」での開発ととてもよく似ています。新型コロナウイルスのワクチンが認可された後、摂取者と未接種者とでは異なるPCR検査のCt値が設定され、打った人は打っていない人よりも陽性が出にくい仕組みになっていたことも思い出されます。また、ポリオの麻痺の治療法にも当初多くの問題があり、治療法が改善されたこともケース数が減ったことに関係しているのですが、功績の全てはワクチンに持っていかれてしまいました。
一般的に受け入れられている歴史を、そのまま鵜呑みにしてはいけません。また、主流メディアの報道も、そのまま信じてしまってはいけません。ここしばらく鶏インフルエンザ、ポリオ、麻疹がニュースに上がって来ていますが、私達の脳は、恐怖や不安を感じてサバイバルモードになると、情報を総合的に理解して整理する大脳への血流が減少するため、正しい決断を下すことが困難になると同時に、原始的な活動を司る脳幹の働きが活発になるので、理性に欠けたその場しのぎの判断をしがちになります。主流メディアの一番大きなスポンサーは製薬会社です。彼らにとって都合の悪い情報は、ニュースでは流れません。恐怖心と不安を煽り、「陰謀論者」、「極右」、「反ワクチン派」などと強い言葉を使い、「ワクチンに疑問を持つ人は反科学的な危ない人」という固定概念を植え付けようとしている流れには、裏があるのです。

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